2024.02.10

妊娠中の腹筋運動について解説! マタニティ責任者の青柳が執筆

こんにちは!
Dr.トレーニングマタニティ事業責任者の青柳です。

今回もお客様からの質問が多い、
「妊娠中は腹筋運動をしていいの?」
という疑問に対して回答と注意点について解説をします!

 

「妊娠中は腹筋運動をしていい?」

まず始めに質問への回答からすると「腹筋運動が好ましくない状態と判断されなければ、妊娠中でも実施は可能」となります。

まず始めに、”好ましくない状態”をお伝えしておきます。
1 過度な骨盤(恥骨・仙腸関節付近)、腰部の痛みがある
2 腹直筋離開の診断、セルフチェックで疑われる※
3 腹筋運動に対して恐怖心がある

1は、仙腸関節障害、恥骨結合炎、腰部椎間板ヘルニアなど、痛みの原因であることが疑われるため、始めに診断・治療やリハビリを優先するため、医師や理学療法士などへ相談してください。
3の場合は、妊娠中の運動不足で体力に自信がない方、過去の帝王切開や手術などトラウマがあり、恐怖心を持っている場合が多いです。このケースでは、後ほど紹介する、”いかにも腹筋運動に見えるもの”は処方を控えます。

一般的にイメージされる腹筋運動を実施しなくても、妊娠中に他の部位をメインとしたエクササイズを通じて、副次的に腹筋は鍛えられます。

また、2の状態では実施しませんが、妊娠中の腹筋運動でお勧めしづらいのは、床から上体を起こす下のような動作です。

以下、補足説明となりますが、読み飛ばしても構いません。
※腹直筋離開は、左右の腹直筋をつなぐ白線が様々な理由から脆弱化することで発症します。[1] 腹筋の見た目の変化で、シックスパックや縦線が入っているのではなく、真ん中から横に割れている状態です。

セルフチェックの方法としては、床に寝て膝を90°に曲げた状態でおへそを見ながら、その上下5cm以内を指で触れます。このときに、
→指を横にして2本以上の隙間がある
→押しても筋肉の緊張が感じられず、柔らかい感じがする

これらに当てはまる場合は、腹直筋離開の疑いがあります。

 

腰痛予防のためにも腹筋が必要?

今回は腰痛を改善するために大切な、腹筋群*に含まれる腹直筋(ふくちょくきん)についてお話をします。
(*腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の総称)

今回は…

『腹筋群はハンモックのように、妊娠中のお腹の重さを支えてくれる』

『腹直筋は妊娠中の反り腰姿勢による腰痛緩和に役立つ』

『腹筋群の筋肉が落ちることは、妊娠すれば避けられないなので、妊娠前から鍛えておきたい』

『マタニティ・産後トレーニングでも腹筋群の運動はオススメしますが、腰痛や腹直筋離開などの場合は注意が必要です』
これらを覚えていただけるとうれしいです!

 

腹筋群が大切な理由

腹筋と聞いて、『くっきり割れた腹筋』を思い浮かべるかもしれません。

この筋肉が腹直筋で、他の腹筋群の筋肉と一緒に、妊娠中の体の変化へ対応するために働きます。

妊娠中の腹直筋は、腹筋群の中で最も筋肉量が落ちやすく、加齢の影響も受けやすいとされています※1。

お子さんの成長に伴ってお腹が大きくなると、骨盤が前に傾き、腰が反って背中が丸まったような姿勢になります。
このとき、お腹は前方への張り出してくるので、重さを支えるために腹筋群がハンモックのように働きます。

また腹直筋は骨盤を後に傾け、腰を丸めるために働く筋肉であるため、過度な反り腰となりやすい妊娠中にも鍛えておきたいです。
でも、胴体を丸める・ひねるような動作がしづらくなる妊娠中に、がんばって筋肉をつけようと、腹筋運動をするのはオススメできません。

妊娠中に腹筋群が弱くなってしまうことは避けられませんが、これを知って妊娠前から対策をする・しないでは、不調の有無・体型戻しで大きな差が出ます!

 

妊娠中にできる腹筋メニューやお腹の引き締めエクササイズ

Dr.トレーニングでは妊娠中の腹筋運動を推奨しておりますが、マタニティトレーナーが指導をする時は、

・フラットな床から上体を起こす運動は避ける(急激な腹圧の上下、筋肉の収縮を防ぐため)
・運動中に腰を反りすぎないようにコントロールする(意識的に腰を丸めないと腹筋の収縮感が得られず、腰の不調の原因となり得る)
・腰・骨盤・股関節周囲の違和感、鼠蹊部のつまり感は、妊婦さんにより個人差があるため、何か感じた時はお客様から報告をいただく

これら3つに注意しております。

今回は妊娠中でも実施しやすい種目を3つご紹介します。

 

スフィンクス

・正座から両膝を広げ、両手で床を押しながら背中から腰を丸める
・息を長くはくと、腹横筋という体を支えるための筋肉を刺激できる
・腹式呼吸で空気を腰に送り込むようイメージすることで、反り腰による腰痛緩和の効果が期待できる

(1セットで呼吸を5-10回繰り返す)

動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=_UbRYhrxX7w

 

リバースクランチ

・膝を肩幅程度に開きつま先を立てて座る
・床からかかとが離れない範囲で体を丸めて下がっていく
・両手は膝の方に伸ばすよう意識をする
・肋骨が閉じて腰が丸くなることで、妊娠中・出産時に必要な腹筋群の筋力と骨盤んの動きを習得できる

(1セット10-15回)

動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=C6-2HMIcCRw

 

レッグロウアー

・膝を曲げたところから両脚を天井に向け、もも裏の筋肉のテンションを感じる
・膝を曲げつつ腰と床の隙間を開けないように、かかとを床へ近づける
・腰痛の不安や腹筋群の筋力が低い方、産後のリハビリエクササイズにも利用されます

(1セット10-15回)

動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=gkW4OFxDNVw

 

⚠️弊社において以上の種目は、お客様の同意、マタニティトレーナーによる身体の評価と安全管理を実施した上で処方しております。ご自身で実施をしてのケガや事故に関しては一切の責任を負い兼ねます。

 

「妊娠中の腹筋」に対しての悩みへの質疑応答

妊娠中の腹筋運動に関してお客様からいただくご質問には、こちらでまとめて回答致します。

Q1:妊娠初期に腹筋をしてしまったんですが、大丈夫ですか?
A.医師から運動を禁忌とされている、先ほど挙げた好ましくない状態に当てはまらなければ、問題はありません。

Q2:妊娠中にお腹を引っ込めたいのですが、どうすればいいですか?
A.最も多いケースでは、おすすめした腹筋運動とスクワットなどお尻・脚のエクササイズを組み合わせて実施します。トレーナーとしては、骨盤の前方への開きを抑える、腰を丸める、股関節を閉じる動作に関わる筋肉を鍛えることが必須と考えています。

Q3:妊娠中にプランクをしていいですか?
A.回答はQ1と同じです。実際のケースでは妊娠8-9ヶ月目の時点で、今まで問題がなかったプランク動作がしづらくなることが多いため、必要に応じてフォームなどを調整して対応をしています。

Q4:妊娠中に腹筋ローラーはしていいですか?
A.妊娠中はおすすめできません。理由は、妊娠中に推奨できる腹筋運動の要件(急激な腹圧の上下と筋収縮がない&意識的に腰を丸めやすい)に当てはまらず、実施した時のリスクがメリットを上回ることが多いためです。

 

[まとめ] 妊娠中の腹筋運動について

今回は妊娠中の腹筋運動に関して解説をしました!
腹筋運動は好ましくない状態と判断されなければ、妊娠中でも実施は可能で、メリットが大きいものではあります。
動画でもおすすめの方法は紹介しましたが、もし腹筋運動を含め、妊娠中の運動に不安があれば、ぜひDr.トレーニングまでご相談いただけますと幸いです。

ドクタートレーニングの各店舗のお問い合わせはこちらから
https://drtraining.jp/contact/

 

【筆者プロフィール】

Dr.トレーニング|マタニティ事業部責任者
青柳 陽祐

【学歴】
ラッセル大学 アスレティックトレーニング&スポーツサイエンス学部 ATC学科

【職歴】
慶應義塾大学医歯薬学部ラグビー部
東京健康科学専門学校 非常勤講師
コモゴルファーズアカデミー

【資格】
NATA-ATC(全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー)

 

[1] 横井悠加, 伊藤理恵, 森明子, & 森下勝行. (2019). 腹直筋離開による腹直筋間距離の増加と白線の組織硬度低下が骨盤底機能に及ぼす影響. In 理学療法学 Supplement Vol. 46 Suppl. No. 1 (第 53 回日本理学療法学術大会 抄録集) (pp. H2-19_2). 日本理学療法士協会 (現 一般社団法人日本理学療法学会連合).

 

[2] Kim, J., Lim, H., Lee, S. I., & Kim, Y. J. (2012). Thickness of rectus abdominis muscle and abdominal subcutaneous fat tissue in adult women: correlation with age, pregnancy, laparotomy, and body mass index. Archives of plastic surgery, 39(5), 528–533. https://doi.org/10.5999/aps.2012.39.5.528

※1 Kim, J., Lim, H., Lee, S. I., & Kim, Y. J. (2012). Thickness of rectus abdominis muscle and abdominal subcutaneous fat tissue in adult women: correlation with age, pregnancy, laparotomy, and body mass index. Archives of plastic surgery, 39(5), 528–533. https://doi.org/10.5999/aps.2012.39.5.528

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